ギリンマ君の仕事の失敗を聞いて同僚であるアラクネアさんは意地の悪い笑みを
浮かべました。
いつものことなのでもう慣れても良い筈なのだけれど、やはりギリンマ君が腹を
立てるには十分な要因なのでした。

もちろんそれは彼女の思う壺で、ギリンマ君の心の動きを感じ取ったアラクネア
さんは益々愉しそうに目を細めます。
そうして思いついたように開いたタバコの箱を差し出しました。
どうやら一本勧めてくれているようです。



「‥禁煙中です」

ギリンマ君は少しの間‥けれど随分と考えてからそう言いました。

「あ、そ」

アラクネアさんはまるで興味のなさそうな声で答えると禁煙中の同僚を気にする
様子もなくタバコに火を点けました。
独特の匂いが充満して甘味を含んだ煙が辺りを侵食していきます。

ギリンマ君は理性とか忍耐とかその他色々なものに支えられていた筈なのですけ
れど、それらはあっさりと白煙に打ち負かされてしまい、間もなく情けない台詞
が口から這い出してきました。

「すみません、やっぱり一本貰えますか‥?」

ギリンマ君はタバコを受け取ると未練がましくポケットに入れたままにしていた
100円ライターで火を点けます。
そうして懐かしいその煙を肺いっぱいに吸い込むと、溜め息と一緒に吐き出しま
した。


「‥‥クソっ‥半年も我慢したってのに‥!」

「それはご苦労様」

アラクネアさんは今度こそ心の底から愉しそうに笑いました。







カマキリと蜘蛛。ものっそい短文。 この二人はなんちゅうか、同僚で付き合いもあるけど絶対に男女にはなり得ない関係 と云うのが望ましいです。 うちの捏造設定的には ・相手が失敗すると心象が良くなる。 ・嫌がらせなのか元気づけようとしてるのか微妙なアクション。 ・間違っても恋愛感情は抱かない。 とか。そんな設定。 デストロンにしてもそうなんですが、“利害主体の関係”とか!好きみたいです、私。 目的は一緒なんだけど絆とかはなくて、かと云って全く関わりを持とうとしないワケじゃ ない、そんな関係。 いや!ギリアラがダメとかじゃないんですけどね! うちのギリンマ君はうららたんにしか発情してくれないんですよ!(><) 初めてのきゅあネタですた。 2007/07/16(2008/03/25改)